ここ数年間に大規模な地震が日本各地で多発していることもあり、日本人の防災への意識が高まっています。防災のために事前にできることはたくさんありますが、今回「消費者インサイト研究所」では、避難生活に必要不可欠な「非常食」にスポットを当てました。今の消費者たちは「非常食」に対してどのような意識を持ち、どのような食品を「非常食」として備蓄しているのでしょうか?
そこで今回はCODE(コード)を活用したバーコードリサーチ(確実な購買データに基づく最速アンケート)を使って、非常食を備蓄しているユーザーの方たちを対象に「非常食に関する実態調査」を実施しました。今回もここでしか見られない情報が満載となっていますので、業界関係者の方はぜひ最後まで目を通してみてください。
「バーコードリサーチ」には、CODEユーザーの方たちに特定の写真を撮影してもらい、その画像を集めて消費者の持ち物を視覚情報で確認できる機能があります。今回はその機能を活かして、アンケート回答者の方たち全員に「防災セットの中に入っている非常食」の写真を撮影して送ってもらいました。
昔から「非常食といえば乾パン」というイメージがありますが、2017年を迎えた今、一般の方たちはどのような食品を非常食として備蓄しているのでしょうか?アンケート回答者の方たちから戴いた画像を大きく「乾パンが写っている画像」と「乾パンが写っていない画像」に分けて集計してみたところ、結果は以下のようになりました。
乾パンを備蓄していた人:36人
※「ビスケット」も乾パンとしてカウントしています
乾パン以外の食品を備蓄していた人:66人
アンケート回答者の方たちから戴いた画像を確認したところ、全回答者102人中、画像に乾パン(ビスケットを含む)が写っていたのは36人でした。つまり約3人に1人が乾パンを非常食(のひとつ)として備蓄していて、残りの3分の2の方たちは乾パン以外の食べ物を備蓄していることになります。
乾パン以外の非常食としては、「カップ麺」「レトルトごはん」「レトルトカレー」「缶詰」「シリアル」「カロリーメイト」などがあり、2種類以上の食べ物を用意している方がほとんどでした。また世帯人数と非常食の種類や量に関連性はほとんどみられず、一人暮らしで大量に備蓄している人もいれば、大家族で少ししか備蓄していない人もいました。
Q2. 非常食に最も重要な点は何だと思いますか?(最も何を基準に非常食を選びますか?) n=102(単一回答)
賞味期限 の長さ | 65人 | 63.7% |
腹持ちの良さ | 13人 | 12.7% |
味の良さ | 12人 | 11.8% |
栄養バランスの良さ | 7人 | 6.9% |
安さ | 3人 | 2.9% |
量の多さ | 2人 | 2.0% |
非常食に最も重要だと思う点については、「賞味期限の長さ」が6割を超えて最も多くなりました。「賞味期限の長さ」を選んだ理由は人によってそれぞれだと思いますが、考えられるものとしては「期限が切れる度に取り換えるのが面倒」「長ければ長いほど期限を気にせずに保管できる」「いざ災害が発生して食べようとしたときに期限が切れていたら困るから」などが挙げられるかと思います。もちろんそれ以外の「腹持ちの良さ」や「味の良さ」なども非常食としての大事な条件ではありますが、賞味期限(保存性)は非常食選びにおける最も重要な要素であるといえるでしょう。
ちなみに先ほどの画像のなかに「帝国ホテルの缶詰」が写っているものがありましたが、その画像を送ってくれた方はこの質問で「味の良さ」を選んでいました。
Q3. 最後に非常食を購入したのはいつですか? n=102(単一回答)
今月 | 16人 | 15.7% |
半年以内 | 51人 | 50.0% |
1年以内 | 24人 | 23.5% |
2年以内 | 4人 | 3.9% |
3年以内 | 2人 | 2.0% |
4年以内 | 1人 | 1.0% |
5年以内 | 4人 | 3.9% |
最後に非常食を購入した時期については、「半年以内」が半数を占めて最も多くなりました。約9割の方が1年以内に非常食を購入しており、最後に非常食を購入したのが1年以上前だった方は僅かしかいませんでした。
ちなみに最近ではどのような食品が非常食として人気なのかを調べるために「今月」を選んだ16人の方たちが送ってくれた画像を改めて確認してみましたが、「レトルトごはん」「レトルトカレー」「カップ麺」といった災害時以外でも食べられている食品が多く見られた一方で、非常食の定番ともいえる三立製菓の「カンパン」を購入していた方も3人いました。非常食の選択肢は増えているものの、乾パンは今でも定番商品として一定数の消費者に選ばれているようです。
今回は自宅に非常食(防災グッズ)を備蓄している方を対象にアンケートを実施させていただきましたが、ではアンケート回答者の方たちは今備蓄している非常食に満足をしているのでしょうか?最後に「備蓄している非常食に対する不安」について自由回答形式で質問をしましたので、その回答の一部を内容別にご紹介します。
○量に関する不安
○味に関する不安
○賞味期限に関する不安
○実用性に関する不安
○持ち運びに関する不安
○値段に関する不安
○種類に関する不安
○その他
このようにほとんどの方が非常食に対して何かしらの不安を抱いており、「特に不安はない」と回答した方は全体の1割もいませんでした。
消費者が商品に満足をしていないということは、まだまだ改善の余地があるということでもあります。非常食を製造しているメーカーの方たちが本記事を見ていましたら、ぜひ今回紹介した情報を参考にしつつ、さらなる非常食のクオリティアップに挑戦してみてください。
今回のその他の調査内容は以下になります。
上記の質問の回答や各回答の詳しい内訳、すべての画像やコメントなどが見たい方は、ぜひ下記よりダウンロードしてみてください。
<調査概要>
・調査期間:2017年8月28日(月)~8月29日(火)
・エリア :全国
・対象者 :20~60代の男女
・有効回答サンプル数:102サンプル
・調査手法:バーコードリサーチ(確実な購買データに基づく最速アンケート)